第二回複合アニオンウェブセミナー開催のお知らせ

第二回複合アニオンウェブセミナー開催のお知らせ

7月21日(火)17:00~19:00

講演1
南部 雄亮(東北大学金属材料研究所)
「スピントロニクス基盤物質の複合アニオン化に向けて 」

概要 スピントロニクス研究ではスピン流の生成・制御が重要な課題である。
磁性絶縁体中では、スピン流はスピン波(マグノン)の横方向成分、つまり磁気モーメントの歳差運動によって運ばれることが知られるが、その直接観測は今までなかった。
今回、スピントロニクス基盤物質であるフェリ磁性絶縁体Y3Fe5O12において、音響・光学マグノンモードのマグノン極性(量子化軸に対するスピンの回転方向)の初観測に成功した[1]。
講演ではスピントロニクスの序論について述べ、実験手法と結果を紹介した後、複合アニオン化によってもたらされる利点(の可能性)について議論する。
[1] Y. Nambu et al., Phys. Rev. Lett. 125, 027201 (2020). Editors’ Suggestion
https://link.aps.org/doi/10.1103/PhysRevLett.125.027201


講演2
桑原 彰秀(ファインセラミックスセンター)
「複合アニオン化合物における秩序構造の第一原理計算による探索」

概要 複合アニオン化合物ではカチオンサイトとアニオンサイトの双方に異種元素が混在するケースもあり、従来の化合物よりも結晶構造が複雑化する。材料物性は原子配置と化学結合状態に左右されることから、その複雑な原子配置を把握することは重要である。近年、計算機速度の飛躍的な進歩により、異なる原子配置を持つ多数の構造モデル群に対する第一原理計算も現実的な時間で遂行できる。これにより、複雑な原子配置の安定性をエネルギー計算から直接定量的に解明することが可能になっている。この発表では、網羅的な第一原理計算の実行により複合アニオン化合物における秩序構造を解き明かす取り組みについて紹介する。 


講演3
辻 雄太(九州大学先導物質化学研究所)
「複合アニオンによる活性化エネルギー制御」

概要 ある素反応が与えられたとき、第一原理計算を用いれば、その反応の活性化エネルギーが高いか低いかを予測することは、均一系・不均一系を問わず可能である。一方で、その活性化エネルギーがなぜ高いのか?あるいはなぜ低いのか?ということを問われると、理論家はたちまち答えに窮してしまうものである。活性化エネルギーを「理解」するための枠組みが必要である。本講演では、酸化物表面上でのメタンのC-H結合の活性化を例として取り上げ、その活性化エネルギーを理解するための理論的枠組みを提案する。さらに、酸化物の複合アニオン化によってその活性化エネルギーの制御が可能であることを示す。 

ご興味をお持ちいただけましたら、事務局代表補佐(a.nishinosono(a)cstf.kyushu-u.ac.jp (a)を@にしてください)宛にご連絡お願いいたします。
折り返し、zoomアドレスをお知らせいたします。