第六回複合アニオンウェブセミナー開催のお知らせ
第六回複合アニオンウェブセミナー開催のお知らせ
10月20日(火)17:00~19:00
17:00〜17:40
前田和彦(東京工業大学, A03計画)
『エネルギー変換を指向した複合アニオン光触媒の開発』
17:40〜18:20
平井大悟郎 (東京大学, A03公募)
『複合アニオンの配位に着目した光機能・磁性の開拓』
18:20〜19:00
田部 勢津久(京都大学, A03計画)
『複合アニオン化による発光材料の機能発現』
ご興味をお持ちいただけましたら、事務局代表補佐(a.nishinosono(a)cstf.kyushu-u.ac.jp (a)を@にしてください)宛にご連絡お願いいたします。
折り返し、ミーティングに関するアドレスをお知らせいたします。
講演概要
17:00〜17:40
前田和彦(東京工業大学, A03計画)
『エネルギー変換を指向した複合アニオン光触媒の開発』
[概要] バンドギャップが大きく可視光を吸収できない金属酸化物とは異なり、酸素よりも電気陰性度の小さいアニオン種を含んだ複合アニオン化合物では可視光領域に光吸収を与え、その結果光触媒として機能しうる。本セミナーでは、複合アニオン光触媒の特徴と開発の歴史を概観した上で、水の分解に代表される光エネルギー変換反応を指向した最新の研究動向について解説する。
17:40〜18:20
平井大悟郎 (東京大学, A03公募)
『複合アニオンの配位に着目した光機能・磁性の開拓』
[概要] 複合アニオン化合物では、カチオンに複数種類のアニオンが配位するため、単一アニオン化合物と比べて局所的な対称性が低下している。この特徴によって、d-d’遷移が活性化したり、特定の軌道を占有することで低次元性が発現したりすることが期待される。本発表では、複合アニオン化合物にユニークな光学特性を示す物質の例としてCa3ReO5Cl2を紹介する。この物質の示す多色性という特異な光学特性について説明した後、陽イオン置換による吸収エネルギーの制御と低次元磁性についても紹介する。
1) D. Hirai et al., J. Am. Chem. Soc. 139, 10784 (2017).
2) D. Hirai et al., J. Phys. Soc. Jpn., 88, 044708, (2019).
3) D. Hirai et al., Inorg. Chem. 59, 10025-10033 (2020).
18:20〜19:00
田部 勢津久(京都大学, A03計画)
『複合アニオン化による発光材料の機能発現』
[概要] 発光材料はレーザー,光ファイバ通信,ディスプレイ,照明分野を中心に活用されているが,各方式の変遷に応じて求められる性能が時代と共に変わっているため,常に新材料の開発が続いている.最近は環境,医療に関わる分野への応用展開も広がっており,求められる機能の種類が益々広がっている.一般に発光中心である希土類や遷移金属カチオンの輻射遷移確率や励起・発光波長はその局所構造の対称性によって大きく変化する.活性カチオンサイトの対称性が低くなると,例えばCe3+:5d配位子場分裂の増大による励起波長の長波長シフトで青色LED励起が可能になったり,Eu3+の4f-4f電気双極子遷移確率の上昇により赤色発光輝度が向上したりする.配位子アニオンを複合化すれば,発光中心カチオンの配位子場対称性の低下が期待できる.またホストの価電子帯準位を制御することができれば,電荷移動遷移波長の長波長化や,あるいは正孔(ホール)が関わる物性,例えば長残光性能を制御することもできるはずである.本講では,複合アニオン化により,新たな光物性が発現した研究例について紹介する.
関連論文
1) Y. Kitagawa, J. Ueda, M. Brik, S. Tanabe, Opt. Mater. 83, (2018) 111-117.
2) J. Ueda, S. Matsuishi, T. Tokunaga, S. Tanabe, J. Mater. Chem. C 6, (2018) 7541-7548.
3) S. Tanabe, Int. J. Appl. Glass Sci.6[4], (2015) 305-328.
4) S. Tanabe, T. Hanada, J. Appl. Phys. 76, (1994) 3730-3734.